本文
令和4年6月 県議会定例会 知事提案説明要旨
令和4年6月 県議会定例会 知事提案説明要旨
本日は、皆様御多用のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございました。
今回提案いたしました諸議案の説明に先立ちまして、当面する県政の課題について申し述べ、県議会及び県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
はじめに
・新型コロナウイルス感染症関係
まず、はじめに、新型コロナウイルス感染症について申し上げます。
3月にはまん延防止等重点措置の適用が解除されたものの、新年度や大型連休で人の移動が活発になる時期を迎えるにあたり、これまで同様、基本的な感染防止対策の徹底やワクチン接種を呼びかけてきたところであります。
(感染拡大防止、医療提供体制、ワクチン接種)
現在感染の主流となっているオミクロン株は感染性が高く、新規陽性者数が高い水準で推移を続けております。本県では、保健所が行う疫学調査を高齢者等に重点化するとともに、クラスターが発生した場合の岡山県クラスター対策班の派遣や高齢者施設等への抗原検査キットの配布による職員の集中的検査などを実施し、重症化リスクの高い高齢者等の命を守る取組を進めてまいります。
併せて、高齢者施設等で、患者が発生した場合には、早期に治療できるよう、嘱託医や協力医療機関の他に地域の医療機関とも連携し、必要な医療が継続的に提供される体制の構築を進めてまいります。
また、高齢者等を対象としたワクチンの4回目接種についても、市町村や医療関係団体と連携しながら、円滑な接種を推進してまいります。
(中小企業等への支援)
中小企業等への支援につきましては、今年度より、県中小企業支援センターでの相談体制や専門家派遣による支援を充実させるとともに、経営状況が悪化した中小企業等の事業再生を目的とした資金繰り支援などにも努めているところであり、引き続きコロナ禍からの回復に取り組む企業を支援してまいります。
(県産米の需要拡大)
県産米の需要拡大につきましては、コロナ禍による需要の減少に対し、緊急販売拡大対策に取り組んでいるところであり、米の食味ランキングで6年連続「特A」を取得した「きぬむすめ」のPRを強化するなど、さらなる消費拡大対策を進めてまいります。
国内でもオミクロン株の新たな系統による感染が報告されるなど、未だ予断を許さない状況が続きますが、安心して過ごせる日常生活と、活力ある社会経済活動を取り戻すため、今後とも全身全霊を注いでまいります。
・平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興
次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興についてであります。
災害発生からまもなく4年を迎え、応急仮設住宅への入居状況はピーク時の1%程度となるなど、被災者の皆様の住まいと生活の再建は着実に進んでおります。引き続き、全ての被災者の1日も早い生活再建に向け、一人ひとりの状況に応じた支援に努めてまいります。
また、公共施設等については、被災箇所の原形復旧工事が昨年度末で全て完了したところであります。小田川3支川などの改良復旧についても概ね計画どおり進捗しており、早期の工事完了に向け、事業を推進してまいります。
・ウクライナ支援
次に、ウクライナからの避難民に対する支援につきましては、現在、県内自治体において避難民の受け入れが行われており、民間においても支援の動きが広がっているところであります。本県においては、ウクライナ避難民支援検討本部を設置したところであり、今後、国、全国知事会や市町村とも連携し、必要な支援に取り組んでまいります。
・行政手続のオンライン化
次に、行政手続のオンライン化につきましては、昨年10月に策定した岡山県DX推進指針に重点取組事項として掲げ、877手続をオンライン化したところであり、収入証紙制度につきましても、来年10月から廃止し、キャッシュレス決済の導入などを進めてまいります。
引き続き、県民の利便性向上に資する、行政手続のオンライン化を進めてまいります。
教育県岡山の復活
続きまして、第3次晴れの国おかやま生き活きプランに掲げる3つの重点戦略に沿って、御説明申し上げます。
まず、「教育県岡山の復活」についてであります。
・学ぶ力育成
(学ぶ力の育成)
学ぶ力の育成につきましては、学校経営アドバイザーを増員するとともに、授業改善や校内指導体制への指導・助言を専門的に行う授業改革推進チームの体制を強化するなど、教師の授業力の向上と子どもたちの学ぶ意欲の向上に向けた組織的な取組を推進してまいります。
また、4月に全国学力・学習状況調査と本県独自調査を実施したところであり、今後、調査結果の分析を行い、学力の着実な定着や学ぶ意欲の向上につなげてまいります。
・徳育・体育推進
(長期欠席・不登校対策)
長期欠席や不登校対策につきましては、スクールソーシャルワーカーなど専門家と連携した支援を充実させるとともに、教室復帰に向けた別室指導の拡充や、その成果を県内へ普及させることで、不登校を未然に防ぎ、一人でも多くの不登校生徒の状況が改善するよう取り組んでまいります。
(少年非行対策)
少年非行対策につきましては、学校警察連絡室の継続的な取組等により、昨年の非行率は2.2人と、過去最低となるなど、各種取組の成果が着実に現れているところであります。
引き続き、非行防止教室や関係機関等と連携した取組を推進し、少年の規範意識向上に努めてまいります。
地域を支える産業の振興
続きまして、「地域を支える産業の振興」についてであります。
・企業誘致・投資促進
(企業誘致と投資の促進)
企業誘致につきましては、昨年度、31件の誘致が決定し、約1,100億円の投資を呼び込み、1,300人を超える新たな雇用を創出するなど、知事就任以来、最大の成果を上げております。
引き続き、企業ニーズに応じた産業用地の確保に努めるとともに、さらなる企業の誘致と県内企業の投資促進に取り組んでまいります。
(国道2号岡山バイパスの渋滞対策)
国道2号岡山バイパスの渋滞対策につきましては、県議会議員連盟、国会議員連盟、沿線市町の皆様とともに、国に対しその必要性と早期整備を訴えてきた結果、岡山市から倉敷市間の5つの交差点の立体化が国直轄事業として新規事業化されました。
引き続き、関係者の皆様と連携し、事業化された箇所の早期完成と、残る交差点の事業化について、国に働きかけてまいります。
・企業の「稼ぐ力」強化
(EVシフト)
EVシフトにつきましては、急速な環境の変化に迅速に対応できるよう、県内企業の技術力向上と競争力強化に向け、新技術開発や人材育成をはじめ、異業種展開、企業間連携、販路拡大等の支援を行うなど、全国をリードするEVシフトに対応した産業と地域の実現に向けた取組を推進してまいります。
また、EV等の魅力をわかりやすく広報するとともに、充電環境の整備に向けた支援に取り組み、EV等の普及をさらに後押ししてまいります。
・観光振興
(デスティネーションキャンペーン)
デスティネーションキャンペーンにつきましては、いよいよ7月から本番が始まります。犬島や牛窓をカラフルなマスキングテープで装飾するプロジェクトをはじめ、蒜山スペシャルナイトや大原美術館プレミアムモーニングツアーなど、本県ならではの特別な企画を市町村や観光関係事業者と連携して数多く実施することとしております。
また、期間中に、岡山後楽園で夏の幻想庭園を開催するなど、全国から訪れる観光客に満足度の高い旅を提供することにより、観光需要の回復につなげてまいります。
・儲かる農林水産業加速化
(白桃の供給力強化)
白桃の供給力強化につきましては、市場から出荷量の増加や出荷期間の拡大が求められており、産地の拡大や晩生品種の導入に加え、園地の平坦化等による生産性の向上、近年の気候変動に対応した排水・かん水施設の整備等による生産安定化、担い手の確保・育成を総合的に進めてまいります。
・働く人応援
(雇用対策)
雇用対策につきましては、県内大学における新規学卒者の就職決定率は、前年を上回ったところであります。引き続き積極的な正社員採用などを継続していただくよう、県内経済団体に対し要請を行ってまいります。
また、県内企業の若手社員が、県内就職の魅力や自身の体験を学生に語り、就活に関する相談に対応する、おかやま就活サポーター制度の活用などを通じ、本県への人材の還流と定着に取り組んでまいります。
安心で豊かさが実感できる地域の創造
続きまして、「安心で豊かさが実感できる地域の創造」についてであります。
・保健・医療・福祉充実
(子宮頸がんの予防)
子宮頸がんの予防につきましては、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開や、接種機会を逃した方々も対象とした無料接種の開始を受け、本県では、市町村への説明会や医師を対象とした研修会を実施したところであります。引き続き、若い世代の命を一人でも多く救うため、子宮頸がんの予防に関する正しい知識の普及啓発と円滑な接種に向けて一層取り組んでまいります。
(医療的ケア児及びその家族への支援)
医療的ケア児への支援につきましては、本人とその家族の負担軽減を図り、県内どこでも安心して生活できるよう、新たに、ワンストップの相談窓口として4月に「岡山県医療的ケア児支援センター」を開設したところであり、関係機関と連携したきめ細かな支援を行ってまいります。
・結婚・妊娠・出産応援
(少子化対策の推進)
少子化対策の推進につきましては、子どもを“産み育てたくなる”社会を目指し、日本青年会議所が展開する「ベビーファースト運動」に先月参画し、私自ら、子どもが晴れやかな笑顔で暮らす岡山を実現することを宣言いたしました。
また、本日から、結婚情報誌とのコラボにより作成した本県オリジナルのご当地婚姻届の提出が可能となったところであり、引き続き、社会全体で結婚、妊娠・出産、子育てを応援する気運の醸成を図ってまいります。
・子育て支援充実
(子どもの虐待防止)
子どもの虐待防止につきましては、昨年度、岡山市で、虐待を受けた女児が亡くなる痛ましい事件が発生しました。
県としてもあらためて、子どもの安全確保が最重要であると認識し、児童相談所職員や市町村担当職員はもとより、県警察との研修等による対応力の向上を図るとともに、関係機関との一層の連携強化に取り組んでいるところであります。
今後、痛ましい事件が繰り返されることがないよう、子どもの虐待防止に全力で取り組んでまいります。
(DV被害の防止)
また、DV被害の防止につきましては、感染症の影響で一層被害の潜在化や深刻化が懸念されることから、相談に至っていない潜在的被害者に対してSNSを活用したプッシュ型のアプローチを新たに実施し、早期の相談支援につなげるとともに、相談員等を対象に、より専門性の高い研修等を実施するなど、地域のセーフティネットの強化に取り組んでまいります。
・防災対策強化
(防災対策の推進)
防災対策の推進につきましては、先日、県災害対策本部の情報収集能力の向上、関係機関との連携強化などを目的に、梅雨の豪雨を想定した水害対応訓練を実施したところであり、引き続き、こうした訓練や研修を重ね、本県の防災力の強化に努めてまいります。
また、北朝鮮による弾道ミサイルの発射実験が繰り返されております。本県に危険が及ぶと想定される場合には、国や市町村と連携し、迅速かつ確実に、県民へ避難の呼びかけができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
・暮らしの安全推進
(暮らしの安全対策)
暮らしの安全対策につきましては、刑法犯認知件数が19年連続で減少するなど、県民総ぐるみによる犯罪抑止対策を強力に推進した成果が現れているところであります。
一方で、昨年の特殊詐欺の被害額は3億円を上回っており、依然として深刻な状況にあることから、引き続き、「だまされんのじゃ岡山県・県民運動」を一層強力に推進し、被害の未然防止に努めてまいります。
(交通安全対策)
交通安全対策につきましては、交通死亡事故が多発し、交通事故死者数は前年同時期を大きく上回っております。特に、高齢者が全死者数の6割を占めており、類型別では、道路を横断中の死者数が全体の3割を占める状況にあります。
引き続き、関係機関・団体等と連携し、全ての道路利用者に基本的な交通ルールを守ってもらう取組を実施するとともに、子どもの安全確保に向け、可搬式速度違反自動取締装置による取締りを中心とした通学路の安全対策を推進してまいります。
・持続可能な中山間地域等形成
(移住・定住)
移住・定住の促進につきましては、感染症を契機とした地方移住への気運の高まりを捉え、新たなライフスタイルとして注目が集まる二地域居住に関心を持つ方を対象としたモニターツアーを実施するなど、引き続き、市町村等と連携しながら、将来的な移住・定住にもつながる関係人口の創出に積極的に取り組んでまいります。
(地域公共交通)
地域公共交通につきましては、コロナ禍に加え、人口減少やモータリゼーションの進展により利用者が減少傾向にあることから、本県では初めて、県内全域を対象としたパーソントリップ調査を実施し、市町村等と連携しながら、地域ごとの課題解決に向けた新たな施策に取り組むなど、地域公共交通ネットワークの活性化を進めてまいります。
また、JR在来線につきましては、4月に県内3路線の一部区間が大変厳しい経営状況にあることが明らかになりました。沿線市町村と連携し、より一層の利用促進に取り組むとともに、国に対しJRへの支援を要望するなど、県として必要な対応を行ってまいります。
・快適な環境保全
(地球温暖化対策の推進)
地球温暖化対策の推進につきましては、これまでの省エネ対策などの取組を着実に進めるとともに、2050年カーボンニュートラルを見据え、2030年度における温室効果ガスの削減目標と併せ、県民、事業者、行政による様々な取組を盛り込んだ県行動計画の改定を進めてまいります。
(循環型社会形成の推進)
循環型社会形成の推進につきましては、3月に笹ケ瀬川の漂着ごみ一掃作戦を日本財団と実施したところであり、今後、瀬戸内オーシャンズXとしての海ごみ対策を一層進めるとともに、地域における効率的な回収活動のモデルづくり等に取り組んでまいります。また、使い捨てプラスチック製品の使用を減らすキャンペーンを、トップクラブチームと連携し新たに展開してまいります。
・生きがい・元気づくり支援
(文化の振興)
文化の振興につきましては、今年実施される岡山デスティネーションキャンペーンや瀬戸内国際芸術祭に合わせ、岡山芸術交流や美作三湯芸術温度など多彩な文化イベントを県内各地で展開することとしており、その開催に向けた準備を進めてまいります。
(スポーツの振興)
スポーツの振興につきましては、トップクラブチームへの支援等により、スポーツを身近に感じることができる環境を創出するとともに、ジュニア世代からトップアスリートに至るまでの育成・強化に努めてまいります。
また、先般、日本スポーツ協会等から正式要請のあった、国民スポーツ大会冬季大会スケート・アイスホッケー競技会については、開催受諾に向けた調整を行っているところであります。その他各種全国規模の大会の誘致にも積極的に取り組み、地域の活性化を図ってまいります。
(おかやまマラソン2022)
おかやまマラソン2022につきましては、21,373人のランナーから参加申込みをいただくとともに、大会を支えるボランティアの登録にも取り組んでおります。大会開催にあたっては、日本陸上競技連盟が示すガイドライン等を参考に感染防止対策を徹底し、大会に関わる全ての方々にとって、安全で安心なものとなるよう、3年ぶりの開催に向けて、関係者と一体となって準備を進めてまいります。
・情報発信力強化
(情報発信力の強化)
情報発信力の強化につきましては、本県のPR動画が日本航空の国内線、国際線の機内番組において、7月から9月までの3か月間、上映されることとなりました。
観光地の魅力をはじめ、県産品や県産果物の素材のすばらしさを国内外に発信するため、引き続き、動画やSNSを効果的に活用したプロモーションを行い、本県のイメージアップに努めてまいります。
諸議案
次に、今回提案しております諸議案の概要につきまして、御説明申し上げます。
まず、予算案件につきましては、当初予算編成後の情勢の変化に伴い、早急な対応を必要とするものについて、補正措置を講じることとし、所要額を計上しております。
その結果、今回の補正予算額は、
一般会計において 4億9,500余万円の増額
であります。
補正後の一般会計予算額は、歳入歳出それぞれ7,639億2,100余万円であります。
一般会計歳入予算の内容につきましては、繰入金3億100余万円などを増額する所要の補正措置を講じるものであります。
一般会計歳出予算の主な内容につきましては、地域医療介護総合確保事業費3億3,300余万円などを計上しております。
企業会計につきましては、「岡山県営電気事業会計」において所要の補正措置を講じるものであります。
次に、条例案件につきましては、「岡山県税条例の一部を改正する条例」など8件であります。
以上、今回提案いたしました諸議案につきまして、その概要を申し上げた次第であります。
なにとぞ、慎重御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。