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南山城跡  倉敷市船穂町柳井原・真備町川辺

更新日:2019年10月21日更新

その2(令和元年10月21日更新)

 南斜面に設けられた腰曲輪は、広さ約21×5mの細長い平坦地です。その中央に3×2間(約8×4m)の掘立柱建物と、東西両縁に低い土塁が見つかり、土塁の内側にはつぶて石が集められていました。さらに腰曲輪の西側に虎口(出入り口)と柱穴が確認されました。この虎口から西に出るとすぐに深い竪堀となるため、竪堀を渡る仮橋があった可能性も考えられます。腰曲輪からの出土品には、硯〈すずり〉や切羽〈せっぱ〉、小柄〈こづか〉等があります。切羽は刀の鍔〈つば〉に添える金具、小柄は鍔に装着する小形の刃物です。

 南斜面を埋めつくす畝状竪堀群は、調査前には分からなかった竪堀が発見され、幅約60mの間に21条の竪堀が連続して掘削されていることが分かりました。また、腰曲輪の南下方では横堀が新たに見つかり、その横堀から竪堀が掘削されている状況も確認できました。

 平成29年4月から始まった南山城跡の発掘調査は、この10月末で終了します。2年7か月に及んだ発掘調査では、全容が明らかとなった戦国時代の南山城跡以外にも、弥生時代の集落跡、古墳時代前半期の古墳が見つかり、貴重な成果がありました。調査にあたっては、多くの方々に御協力いただいたほか、現地説明会では全国各地からの参加を得ました。ありがとうございました。

南斜面の様子
南斜面の様子(南上空から)

腰曲輪
腰曲輪(南上空から)

小柄の出土状況
小柄の出土状況

横堀と竪堀群
横堀と竪堀群(東から)

 

その1(令和元年7月1日更新)

 平成29年度から続けてきた南山城の発掘調査もいよいよ最終年度を迎えました。今年度は曲輪〈くるわ〉とその南側に配置された腰曲輪〈こしぐるわ〉、多数の竪堀が連続する南斜面を中心に調査を進めています。
 曲輪の調査では、掘立柱建物を東側の曲輪で2棟、西側の曲輪で1棟、曲輪西端に設けられた櫓台〈やぐらだい〉で1棟確認しました。また、曲輪の周りを掘り下げた結果、緩やかな斜面に最大で約2m前後の厚さの土を盛ることで曲輪の平坦面を造成し、その上に土塁を造っていることが分かりました。
 一方、城跡の南側の斜面では、多くの竪堀が連続して設けられていることが調査前から確認できましたが、発掘調査によってこれらの竪堀は18条あり、幅は約2~3m、深さは約1~1.5mであることが明らかになってきました。
 これから南山城跡の調査は終盤を迎えます。さらなる発見と城の全容解明に御期待ください。

南山城跡の近景(南上空から)
南山城跡の近景(南上空から)写真

西側の曲輪(北西上空から)
西側の曲輪(北西上空から)

曲輪の造成土・土塁の断面(北西から)
曲輪の造成土・土塁の断面(北西から)

連続する竪堀(西上空から)
連続する竪堀(西上空から)