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令和7年度研究テーマ

A.国、県等からの外部資金による研究

1.きらめき岡山創成ファンド支援事業

(1)車両電動化に向けた(i)金型成形によるギア静音化技術の開発と(ii)数値解析を用いた溶接ひずみ最小化および最適溶接プロセス設計手法の確立​

金型成形によるギア静音化技術の開発を目的に、品質条件(精度、面粗度など)が異なるギアにおいて噛み合い騒音の計測、分析を行った。その結果、いくつかの品質条件がギアの噛み合い騒音に与える影響が大きいことを確認した。

2.グリーン成長研究開発プロジェクト創成事業

(1)アクアポニックス設備における空気環境の数値化と、設備機能・設計の最適化による生育環境の高度化

アクアポニックス設備の生育環境向上を目的とし、現状の栽培空間の熱流動特性について評価した。単体および複数を連結した栽培槽ユニット内の空気流動を可視化するとともに、温度分布を実測した。その結果、送風ファンや筐体構造との関連性を明らかにし、生育に適切な温熱環境を実現するための基礎資料を得ることができた。

3.成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)

(1)布地の『肌触りと耐久性』評価装置、評価方法の開発​

スマートテキスタイルの「肌触り」と「耐久性」の評価のための計測装置の開発を目的に、試作装置の動作確認や性能検証のための検討を実施した。その結果から得られた種々の課題点を装置にフィードバックし、実用化にむけた装置の精度向上に取り組んだ。

(2)リサイクル性向上・製造時の環境負荷低減による脱炭素の実現と、快適で高機能な自動車シート部品の開発

自動車用シートのアームレストにおける構成部品の1つであるコイルばねに対して、製造時の環境負荷低減やコスト削減、さらなる品質向上を実現するため、現行の製造条件を中心に検討を進めた。これにより、エネルギーの無駄を減らしつつ、安定した製造プロセスの確立に向けた方向性を見出した。

4.橋渡し研究プログラム(AMED)

(1)金属担持バイオマテリアル合成技術を基盤とした抗腫瘍・免疫賦活剤の開発

金属ナノ粒子担持ナノファイバー複合材料の製造プロセスにおいて、反応界面の素材選択が粒子の析出量と形態を制御する新規合成メカニズムを見出した。反応条件の最適化により粒子含有量の精密な制御が可能となり、均質な複合材料の作製を実現した。得られた複合材料について、金属粒子含有量と細胞増殖抑制効果についての相関性をin vitro評価により確認した。

5.スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)

(1)世界のタンパク質危機に貢献する麹菌固体培養技術の高度化

実生産を見据え小型通気式固体培養装置を利用して、コーングルテンミールの麹菌固体培養を実施した。得られたコーングルテンミール麹の評価、成分分析を行った。培養中の品温を低下させた昨年度の結果と併せて、コーングルテンミールを固体培養することにより、機能性強化の裏付けを取ることができた。

6.エコプロダクツ製品化支援事業

(1)レスベラトロール入りぶどう飲料量産化を目的とした食品製造工程で廃棄されるぶどう残渣からの収率の向上、及び既存商品の多品種化に向けた改良研究

廃棄されるぶどう残渣から効率よくレスベラトロールを抽出、精製するための手法を検討し、高速液体クロマトグラフで定量分析を行った。レスベラトロ―ルは水溶液中で重合して二量体になることから、その防止策を講じた。併せて、レスベラトロール抽出後ぶどう残渣の活用法に関する炭化実験などを行った。

7.岡山県資源循環推進事業

(1)プラスチックマグネット成形時廃棄残材の再利用による廉価磁石部品の開発

プラスチックマグネット材料において、再加工した再生材と従来の新材との機械的特性、熱特性及び磁気特性を比較検討した。その結果、再生材の機械的特性、熱特性及び磁気的特性は、新材のそれらと同程度の性能を有することを見出し、再生材の実用化に向けて可能性が示唆された。

B.特別電源所在県科学技術振興事業(文部科学省)

(1)窒素を活用した熱処理技術の高度化

これまでに得られた結果を考慮し、冷間圧延鋼板(SPCC)を対象に浸窒焼入れを施し、組織形成および硬さの検討を行った。処理温度がフェライト単相 (700℃)またはフェライト/オーステナイト 2 相域 (800℃)の場合、浸窒層と母相の間に明瞭な境界が確 認された。また、純鉄と異なり、800℃5時間の熱処理 で200μm 以上の浸窒層が得られた。熱処理温度・時間により最高硬さを示す試料表面からの深さに違いはあるものの、いずれの条件でも、700HV以上の硬質な 組織が得られた。

(2)ゴム材料の劣化に伴うナノ構造変化に関する研究

BR/カーボンブラック(CB)複合材料(0–40重量部)を用い、伸長その場AFM観察により力学的酸化劣化に伴うナノクラックの生成・成長を定量的に評価した。 表面粗さ解析から、CB充填により亀裂の生成および成長が早まることが確認された。一方、補強効果により亀裂の成長が抑制されることが示された。特に高充填試料であるCB40重量部では、亀裂の成長が遅くなることを確認した。また、亀裂は界面領域ではなくマト リックス領域で生じることが明らかになった。

(3)大気圧プラズマ処理による樹脂材料の機能性発現に関する研究

大気圧プラズマ処理によってPP表面に分子鎖切断が生じているかを検証するため、表面状態を調査した。接触角測定では、処理直後に親水化が確認された一方、水浸 漬や加熱により短時間で未処理レベルへ戻る挙動が明瞭に観察された。XPS分析では、処理直後にCOOHや NH/NH₂などの官能基が導入されるものの、浸漬・加熱後には急速に消失し、元素組成も未処理状態へ近づくこ とが示された。これらの結果から、大気圧プラズマ処理によりPP表面で分子鎖切断が進行し、低分子化層が形成されていることが実験的に示唆された。

C.単県事業による研究

1.基盤技術形成事業

該当なし

2.応用技術開発事業

(1)デニム製品の洗濯耐久性に優れた加工技術に関する研究

デニム製品の硬さを制御する洗濯耐久性の優れた加工技術を開発するため、デニム製品の硬い風合いを評価する指標を検討した。硬さの異なる生地として目付の異なるデニム生地を評価し、目付が大きくなるのに伴い変化する力学特性値を見出した。

(2)雄町を用いた麹の特性評価に関する研究

雄町、山田錦(酒造好適米)と、朝日、アケボノ(一般 米)の原料米としての特性評価として、吸水性やタンパク質含量、デンプンの質(糊化温度)を分析した。それらを用いて試験製麹を行い、製麹の温度経過と出麹時の水分の違いを評価した。各麹の基本的な品質として、酵素力価と菌体量を評価し、各原料米の違いを検証した。

3.グリーンバイオ・プロジェクト推進事業

(1)バイオマス素材の活用技術に関する研究

EPDMとリグノセルロースナノファイバーを用いた複合材料の開発を目的として、最適な複合化プロセスの検討を進めている。混練条件の工夫により引張物性が向上することを見出しており、作製条件と物性の関係について系統的な調査を行っている。最適条件を確立させ、実用的な高機能ゴム複合材料の創製に継続的に取り組む。 

4.外部知見活用型・産学官連携研究事業(農林水産総合センター水産研究所) 

(1)アユの資源回復に繋がる生息環境の改善とその効 果確認手法の開発

アユ生息環境改善の取組み(魚道設置や河床整備等)に対して、改善効果の新たな確認手法として、水中状況データを一定間隔で送信する独立電源動作型遠隔確認システムの開発を行う。今年度は現地調査において熱対策による夏季の高温下での安定動作と2機のシステムの同時稼働による複数箇所の観察を実現した。

D.企業、大学との共同研究

1.実用化技術開発事業

(1)伝統的な清酒製造工程の評価と製造技術の安定化 に向けた研究開発

清酒製造現場における伝統的な製造工程の各要素技術について、昨年度に引き続き特性評価と科学的検証を進めた。生もと造りの包括的な特性評価では、生もと試料からの微生物の単離同定と菌叢解析の実施、またこれまでに単離してきた酵母から清酒製造に利用可能と思われる酵母候補株を選抜した。槽による上槽工程の評価では、上槽後のろ布や上槽途中の酒粕に残存する成分を分析、昨年度までに行った上槽途中の酒の一般成分や香気成分と比較することによって、総合的に槽搾りの特性を評価した。

(2)高分子材料の診断技術の高度化に関する研究

高分子材料に関して、構造解析技術のさらなる高度化、再現・促進技術の開発、構造制御技術の開発に取り組んだ。構造解析技術では、全時間領域のGauss展開技術を開発し、補強性粒子近傍で運動が拘束されたゴム成分の評価に成功した。再現・促進技術では、樹脂の熱融着性を予測し、予測を実現するための改質技術を開発した。構造制御技術では、非相溶性樹脂のブレンド材料の構造を制御し、リサイクル促進に資する成果を得た。

(3)環境負荷の低減に配慮した繊維製品の開発

環境負荷の低減に配慮した繊維製品の開発のため、バイオ由来染料の利活用について検討した。バイオ由来染料は1%以下の液中存在量であるため、染料として使用するためには濃縮が必須である。本年度は様々な濃縮方法を検討し、約15%程度に濃縮する技術を確立できた。

(4)材料表面制御によるカーボンニュートラルに対応 する新技術・新製品の開発

Mg合金陽極酸化皮膜の高度化では、皮膜へのPTFE粒子の添加に成功し、これによる摩擦係数の低下を確認した。また、短パルスレーザによる表面改質では、金属の高表面自由エネルギー化のメカニズムを明らかにした。さらに、ピコ秒レーザにより、PC上コート材の 除去に成功し、リサイクルの可能性を示した。

(5)効率的な製品設計・開発のためのCAEの高度化

設計上流段階における見通しの良い設計法として近年注目されている1D-CAEを用いたCAEの高度化に取り組んだ。まず、吸音構造と食品乾燥機などについて実験や数値シミュレーションを行った。この結果から理論モデル式を導出し、性能を予測するための1D-モ デルを作成した。この取り組みにより、板振動とヘルムホルツ共鳴を連成した低周波数の比較的広い帯域で高い吸音効果が得られる吸音構造を開発した。 

2.大学との共同研究

15 件の共同研究を実施した。